気候変動への対応
基本的な考え方
artienceグループは、気候変動への対応は企業活動に大きな影響を及ぼす重要な経営課題であると認識し、2020年11月にTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)に賛同表明しました。現在、当社グループのサステナビリティビジョンasv2050/2030をベースとして、2050年度カーボンニュートラル達成に向けたCO2排出量削減に取り組むなどの気候変動対応活動を進めるとともに、TCFD提言に則った情報開示を行っています。
指標と目標
[Scope1・2排出量](リスクに対する指標)
asv2050/2030において、長期目標asv2050に2050年のあるべき姿として当社グループの生産活動における「カーボンニュートラルを達成」を掲げています。さらに中間目標asv2030であると同時にグループマテリアリティ2025-2030の目標(KPI・施策)として「2030年までにグローバルでScope1+2排出量を2020年度比26%削減」を掲げています。
これらを実現するために、エネルギー使用量の削減、エネルギーの低炭素化、電力の低炭素化の3つの方向性によって諸施策を講じています。生産拠点におけるコージェネレーションシステムの稼働運用が多い日本国内では、システムに使用する燃料の低炭素なものへの転換や、生産設備の電化を促進するなど、エネルギーの低炭素化を中心に推進していきます。海外では生産設備の電化が進んでいますが、引き続き生産設備の電化(照明のLED化など)を進め、電力の低炭素化(太陽光発電設備の導入や購入電力を再生可能エネルギー由来にするなど)を中心に推進していきます。
| 方向性 | 主な施策 |
|---|---|
| エネルギー使用量の削減 | ・省エネルギー (工程中のエネルギーロスの排除) ・省エネルギー視点の生産プロセス改革 |
| エネルギーの低炭素化 | ・生産設備の電化(直接排出の削減) ・LNG 代替燃料の活用に向けた準備・調査 |
| 電力の低炭素化 | ・低炭素電力の導入(間接排出の削減) ・再生可能エネルギー設備の導入 |
実績
Scope1・2排出量
2024年度、Scope1・2排出量は、グループ全体で152,002t(前年度比1.7%減)となりました。国内は排出係数の変更により増加、海外は排出係数の変更と太陽光設備の導入により減少となっています。
※ 算定方法・算定範囲の詳細は環境データ編に記載しています
サプライチェーン(Scope3)におけるCO2排出量
サプライチェーンの上流から下流にわたる事業活動に伴うCO2排出量について、「サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関する基本ガイドライン」に準拠して算定を行いました。
サプライチェーンの上流や下流の排出(Scope3)については、基本ガイドラインに示された15のカテゴリのうち12カテゴリについて算定を行いました。販売した製品の加工、使用、廃棄(カテゴリ10、11、12)については、製品が多岐にわたり、販売した製品の加工、使用、廃棄のシナリオを特定することが難しいため、算定範囲全体についての算定を行いませんでした。2024年度は、海外の1拠点を算定対象に追加して集計範囲を拡大しました。今後も集計精度を向上させるとともにCO2削減のためサプライヤーとの対話を中心とした連携を図っていきます。
※ 算定方法・算定範囲の詳細は環境データ編に記載しています
エネルギー使用量
2024年度は、グループ全体で72,859kL(前年度比1.7%減)となり、国内外ともに前年度に比べて減少となりました。生産量は増加しましたが、省エネやプロダクトミックスなどの影響によりエネルギー使用量は減少しました。エネルギー原単位(製品1tを生産するために必要なエネルギー量)は、稼働率の低下と生産品目の変化により微減となりました。
CO2排出量データの第三者検証
artience(株)は、artienceグループ(バウンダリー70%)※のScope1・2の温室効果ガス(CO2)排出量について第三者検証を受けました。
TCFDへの対応
2020年11月、TCFD(気候関連財務情報開示タスク フォース)への賛同を行いました。気候変動対応を含む 環境への取り組みを充実・加速させるとともに、TCFD 提言に沿った情報開示を進めていきます。
- コージェネレーションシステムの導入
- エアー漏れ削減活動の実施
- 再生可能エネルギーの取り組み
- 気候変動に関するイニシアティブ
省エネ大賞受賞
埼玉製造所では、BI(Business Intelligence)ツールを用いて埋没データを活用するとともに、全員参加による省エネ活動を定着させました。省エネ活動により、埼玉製造所全体のエネルギー消費量(原油換算)およびCO2排出量は、2020年度比較で1,982kLおよび3,484t-CO2削減され、エネルギー原単位では13.4%改善されました。
これらの取り組みと省エネ実績が評価され、artience(株)、東洋インキ(株)埼玉製造所、トーヨーケム(株)川越製造所の合同受賞となりました。
- 省エネ大賞は、一般財団法人省エネルギーセンターが主催し、事業者や事業場等において実施した他者の模範となる優れた省エネ取り組みや、省エネルギー性に優れた製品ならびにビジネスモデルを表彰するものです